本との対比でカードゲームを考えた場合、前者は煮込みで
後者は鮨のようなものではないかと考えている。
どちらも列記とした料理だし、煮込みが食べたい日もあれば
鮨が食べたい日もある。
当然、どちらが良いという話でもない。
ただ、カードゲームの方が素材に近い感じがするのである。
世界を理解するためには、それを分けなければならない。
カードゲームが持っている断片性と対称性は、その切り口を
連想させる。
一方、背を糊で固める本は、素材を鍋に入れて同じ出汁で
味付けする煮込みを思わせる。
素材の味を感じさせながらも、同じ味を染み通らせること。
畢竟、それをページネーションと呼んでも良いだろう。
つまり、鮨よりも、料理された感じがするのである。
で、わたし自身の作品をご存知の方には合点がいき易いと思うの
だが、わたしは対象の分析を通して(というか、分析の仕方
自体を見せる形で)ものを作る。
「材料をどう切るか」に比重を置き、そのことのルール化を
持って輪を閉じる次第。
非常にカードゲーム的と思われるのだが、それに気づく
までに20年ほどかかってしまったところが何とも情けない。
いろんなところに兆しはあっただろうに…。
それでも気づけただけ良いということで、残りの人生を
楽しんでいこうと思っている。
引き続き、気分は良いのである。