未来派ファシストと結びついた。
一方、表現主義者や構成主義者はナチスと反目した。
前衛芸術と全体主義の関係は、一筋縄ではいかない。
ついでに言うと、戦争との関係も。
前衛芸術家は、社会的に平和主義者である場合にさえ、
さらに言えば対人的に温厚である場合にさえ、芸術上の
主張については往々にして戦闘的になる。
そもそも「前衛=アヴァンギャルド」という言葉自体が
戦争用語である。
戦いの最前線に立つ者を指す言葉。
それが英雄的な響きを持つようになったのは、フランス
革命からだと言われている。
その場合の「前衛」とは、革命の最前線だった。
つまり、社会の変革を誘導し、旧体制に「否」を突き
つける者。
その態度を芸術の分野で取る者こそ、前衛芸術家という
わけである。
従って、ロシア革命と運命をともにした芸術家たちは、
まさしく前衛と呼ばれるにふさわしかった。
いわゆる、「ロシア・アヴァンギャルド」。
ただ、前衛というのはとかく悲しいものである。
おのれの存在意義を戦いに見いだす者は、勝利と共に
存在意義を無くしてしまう。
と、そんな話はまた次回。