社会主義の記憶

DVDで『善き人のためのソナタ』を見る。
善き映画だった… というのは、あまりにも月並みな感想だな。
ともあれ、おもしろかった。
ドイツの俳優にはなじみがないので、それだけでまず新鮮。
主演のウルリッヒ・ミューエは、ケビン・スペイシーを硬派に
した感じだった。
わたしは(もちろんテレビを通してではあるが)舞台の外に
いる坂東玉三郎を見ると、いつもその立ち姿に感心してしまう。
身体の在り方に凛とした芯が通っているからで、ウルリッヒ
ミューエにはちょっとそれに似た雰囲気があった。
一方、助演のセバスチャン・コッホはもっと崩れた雰囲気。
それはそれで良かった。
そう言えば、ネットの顔分析でこの人に似ていると出たことが
あったような気がするが、思い違いかも知れない。
女優のマルティナ・ゲデックも奇麗で、総じて俳優は魅力的
だった。と、ちょっと上から目線だな>俺
映画全体の印象としては、昔のSF映画に出てきた管理社会が
再現された感じ。
というか、かつて西側が持っていた未来の管理社会のイメージ
って、イコール社会主義世界ってことだったのかも知れない。
そして、意外にそれは的外れでもなかったようだ。
ウルリッヒ・ミューエの言葉。
「あの体制を失ったものとして、悲しむ必要、涙を流す必要
 などないのだと、完成したこの映画を観て改めて感じました」
ってのは、かなり重い。