読み手の時間

会社でおつきあいのある方々に年賀状を書いた。
「本年もよろしくお願い申し上げます」と。
しかし、あらためて考えてみると、書いている現在から
すれば、よろしくお願いしたいのは「来年」のこと。
それを「本年」と書くのは、相手がそれを読むのが来年に
なってからだと、ハッキリしているから。
当たり前と言えば当たり前だが、そんなことは年に1回、
年賀状にだけ発生することのように思う。
というのも、他の場合だと混乱が起きやすいから、
わざわざ読む段階に起点をおくことはしない。
たとえば、夜メールを書く際に、相手がそれを読むのは
たぶん明日になってからだと思っても、それを考慮して
時間をずらすとかえって分かりにくくなる。
その文脈で「明日、打ち合わせましょう」と書かれると
書き手にとっての明日なのか、読み手にとっての明日
なのか、混乱してしまう。
というわけで、年賀状の書き方はけっこう特殊なことの
ように思われるのだが、もしかしたら何かを見落として
いるかも知れない。
すぐには思い浮かばないが、読み手の時間にあわせて
書かれる文章。
年賀状以外に、そういうものがあるだろうか…?