無限忘却

半年くらい前に見当たらなくなっていた、小さな金尺が
出てきた。
しまってあったはずの箱の下に置いてあった箱の中から。
けっこう丹念に探したつもりだったのだが、見落として
しまっていたらしい。
灯台もと暗し、である。
そもそも、ものがきちんと並んでいることが好きな性分
なので、道具を無くすことはほとんどない。
その意味では、それが見当たらなくなったこと自体、
ちょっとしたショックだった。
一方、高価ではない反面、無くてもさほど困るものでは
なかったため、再購入は見合わせていた。
結果、その判断は正しかったことになる。
意外にそういうケースは珍しいことかも知れない。
何かが無くなれば、仕方なく別のものを購入し、後から
出てきてダブる、と。
ありがちなのは、そのパターン。
確か、はさみの時はそうだった。
おっと、他にも無くしてるではないか>俺
忘れた経験自体を忘れてしまうということ。
わたしたちは、そうやっていろんなことを忘れていくの
だろう。