ゴールの手前で振り返ってみる

11月も10日を過ぎたので、今年も残すところ50日を切った
ことになる。
早いものである。
早いと言えば、2000年代も最後の09年が終わるわけだから
一つのデケイドが幕を降ろすことになる。
来年からは10年代である。
さくっと過ぎた0年代だった。
いや、実際にはいろいろと問題もあったわけで、単に過ぎた
時間を早く感じるだけの話だろうか。
一方、あまりに近いせいで、総括することもまた難しい。
ただ、「ここ10年で一番つらかった時期は」と問われれば
それは2004年から05年にかけてだったと言える。
いや、人生全体の中でもその2年は相当につらい時期だった。
原因は、2004年のジョージ・W・ブッシュの再選。
そして、翌年の郵政選挙における小泉純一郎の圧勝である。
件のダブルパンチで、その時期、わたしは随分と落ち込んで
いた。
ことさら政治的なわけでもないのだが、特に前者の再選は
どうにも納得がいかなかった。
その国際犯罪(不正確な情報をもとにイラクの人達を虐殺し、
自国の兵士を死に追いやった罪)が咎められないばかりか、
あらためて支持されるとは…。
さらには、その戦争を無条件に肯定した小泉も圧勝?
日米が奇妙な熱狂に包まれたことに、正直ガックリしていた。
とはいえ、そうした役者たちの嫌な芝居が終わったことで、
ただ今現在は心の平安が戻ってきた。
戦争の問題は全然解決していないし、その期のデタラメに
よって世界が大変なことになってしまったとはいえ、
ひとまず舞台は次の演目に変わったのである。
「貧すれば鈍する」という言葉もあるが、現在の不況は
多くの人を敏感にしていると思う。
むしろ、2004〜05年の力への意志こそ、鈍感さの最たるもの
だったのではないだろうか。
今の空気に派手さはないが、冷めた心地よさが間違いなく
混じっている。
それはまるで、猛暑のあとの秋風のようである。