置き傘エレジー

何日か前に、会社に置いてある置き傘をさして帰った。
で、そのままにして、数日が経過。
ことさら困ったことが起きたわけではないが、置き傘は
突然の雨に対して意味があるのだから、家に置いていた
のでは意味がない。
あるいは、持って出ても、持って帰ってしまうとか。
実際、月曜日は別の傘をさして出かけ、その傘をさして
帰宅した。
結果、会社には置き傘がない状態が続いている。
そろそろ傘を持って行っておいた方がいいのかな、と。
出かける時に雨が降り、帰りに雨が降っていなければ、
それで済む話だが、そんなうまい具合にいくとは
限らないし。
と考えて、秋晴れの今日、傘を持って家を出た。
いや、家を出た時には、少し曇っていたのである。
が、駅までの道でみるみる雲が散り、気持ちの良い
青空が広がった。
ちぇっ。
まぁ、別段傘くらい持っていてもおかしくないはずだが、
そういう時は、妙に人の視線が気になるものである。
「他にも傘を持っている人がいないだろか」と、自然に
目も泳いでしまう。
誠にもって、小心な話である。
活躍の場の薄い、置き傘。
それはまるで、労多くして、功の聞こえ少ない、実直な
家臣のようである。
が、タイトルには別段深い意味はない。
ちょっと語感的に気にいったので、つけてみた次第。