たったひとつのこと

『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』
という、大層長く、またムズムズするようなタイトルの本を読み始めた。
その種のビジネス書はあまり好きではなく、これまで敬遠していたのだが、
先日触れたテストの方針がなかなか定められなかったので、一念発起して
図書館で借りてみた次第。
もちろん、せっかく読むのだから、事前にあれこれと調べてみた結果の
チョイスである。
で、評価が高い本はそれだけ人気もあるわけで、ようやく借りられたのは
申し込んでから1ヶ月近く経ってから。
結局、方針の方が先に決まってしまい、いささか期を逸してしまった。
が、せっかくだから読んでみることにしたところ、予想以上にこれが
おもしろかったのである。
何がいいって、書き方がうまい。
文章の運びから伝わってくる頭の良さは、ちょっと独特。
たとえば、導入的挿話として取り上げてある「幸せな結婚生活について
知らなければならない、たったひとつのこと」という話にして、思わず
「ほぉほぉ」とうなづいてしまった。
それは何かというと、「おたがいの行動についてもっとも寛大な解釈を
当てはめ、それを信じること」だそうである。
要するに、過大評価。
男女の共生に関しては「おたがいをきちんと理解しなさい」的なことが
よく言われるが、実はそれだとすぐに計量的な姿勢になってしまい、
うまくいかないらしい。
「話が違う!」になりやすいのだ、と。(統計的にね)
カップルとしてうまくいくのは、彼(あるいは彼女)の自身に対する
評価よりも、パートナー側の評価が高い場合。
なるほど、それはそうなのかも知れない。
求めるものが「幸せ」ならば、確かに正しさはあまり関係がない。
逆をイメージすると、分かりやすい。
正しさを求める時に、幸せかどうかは関係ないではないか。
それはまるで、20世紀の知の特徴をスケッチしている感もあるのだが、
その話はいずれまた。
まぁ、ビジネス書なので、経済的な成功を無条件に「成功」の定義と
する感は否めないが、それでも読み進めることに惹かれる本ではある。