お見舞いは突然に

広島から一泊で、妹と父が上京してきた。
妹は琴の恩師に会うため、父は戸塚に住む兄(わたしからすれば
伯父さん)を見舞うためである。
その伯父さんは一昨年の暮れに脳硬塞で倒れ、一命は取り留めた
ものの、以来リハビリ生活を送っている。
で、そうした姿を見せたくないということもあるのだろう。
誰もが、見舞いに「来るな」と言われていた。
しかし、そうは言われても、兄弟などからすれば是非顔を見たい
わけで、今回ややゲリラ気味に訪問することになった。
ちなみに、父にはもう一人、埼玉県の草加に住む兄がいる。
今日はその伯父さんと一緒に訪問するという段取りで、わたしは
もっぱら運転手役である。
まずは、草加の伯父さんに川崎まで来てもらい、ピックアップ。
その後、新横浜で新幹線を降りた父を乗せ、戸塚へと向かった。
完全なサプライズにしてしまうと、それはそれでえらいことに
なってしまうので、父が車中から携帯電話で連絡を入れた。
伯父さんは驚いていたが、広島にいるはずの弟が後1時間で来て
くれるというのを流石に断ることはなく、無事対面。
「口ではそう言いながら」というのは、ちょっと嫌な表現だが、
伯父さんはとても嬉しそうだった。
もちろん、訪問した側も喜色満面。
そもそも、父の兄弟は仲が良く、わたしは昔からそれを見ている
のが、とても好きだった。
いとこたち(伯父さんたちから見れば、甥や姪)は、思春期以降
親戚の集まりに参加することを避けるようになったが、わたし
だけはいつまでもその場に顔を出していた。
酒を飲んでは碁を打ち、いつも同じ昔話で笑う兄弟というものを
とても好ましく思っていたから。
それはまるで、七福神のようだった。
う〜ん、ちょっと大げさか?
ちなみに、父は(奇しくも)七人兄妹だった。