熱せられると冷めてしまう

イチローが9年連続の200本安打を達成した。
大変な記録である。
天賦の才を人並み外れた努力で磨いた人だからこそ達成できた
大きな成果と言っていいだろう。
が、悪く思われることを承知で言えば、「だから何?」という
感じもするのである。
手放しで礼讃する報道を見ていると、それと反比例して冷めて
しまう自分がいる。
アメリカの身勝手なグローバリズムの話はどこにいったの?」
「いまだに犠牲者を出し続けているイラク戦争の責任は?」と。
それら全部を含めてのアメリカであり、大リーグである。
アメリカは現在、世界の武器の7割を生産している。
大リーグに限らず、彼の国で行われるスポーツが、その利益に
支えられた娯楽であるならば、それらには血塗られた影がある。
昨日の話で言えば、ヤクザ映画的なのである。
確かにおもしろいが、大っぴらに誉めるのがはばかられるもの。
その距離感があるのならば、わたしもまたイチローの記録を
楽しめる。
まぁ、ああいうことをやってちゃいけないんだけど、そうは
言っても凄いよね、と。
そういう意地と矜持を持っていたいと思うのである。