黒社会と秀才肌

DVDで『エレクション/黒社会』を見る。
香港マフィアの話だが、いわゆるドンパチはほとんど無く、
リアルで渋い雰囲気だった。
映画の基調としては、かなり好み。
とはいえ、あまりおもしろがっていい内容でもないだろう。
ゴッドファーザー』や『仁義なき戦い』にも共通する話
だが、切り口はどうあれ、犯罪組織が正当化されて良い
はずはない。
ただ、そうしたジャンルには、通常社会でないがしろに
されがちな「契り」の魅力があるのだと思う。
血はつながっていなくても、「親」や「兄弟」、ひいては
「一家」を守ろうとする心情に引かれてしまうというか。
まぁ、そもそもヤクザの語源たる「やくさむ」は、天皇
病気になること。
普通の人なら受け流せる事柄に拘泥し、義理や信念を曲げ
られない人のことをそう呼んだ。
だから「暴力団はいかんが、ヤクザはいい」という人も
いて、わたしも印象的にはそれに近い。
要するに、「金の切れ目が縁の切れ目」的な関係性が苦手
なのである。
縁っていうのは、そんな浅いものではないのだよ、と。
日中、森博嗣の『すべてがFになる』を読んでいたのだが、
正にそのあたりの浅さが気になった。
けして全員がそうでないはずだが、森博嗣ファンだという
人のコミュニケーション能力の低さ(というか、何が失礼
かを分かっていない感じ)が作品にダブったことで余計…。
覚めた秀才より、熱いバカタレの方が好きなんだよなぁ。