狐の話

製本の先生・山崎曜さんの奥さんが、mixiでライネケという
名前を使われていて、気になるので『きつねのライネケ』を
読んでみた。
ゲーテ作である。
とは言っても、ゲーテのオリジナルというわけではなく、
もとは民間伝承の叙事詩だったらしい。
岩波少年文庫版なのでボリューム自体も大したものではなく、
昨夜一晩でサクッと読み終わった。
で、内容はと言うと、これがいささか奇妙な展開だった。
主人公のライネケは悪行の限りを尽くし、圧倒的に憎まれて
いるのだが、悪知恵を働かせて都度窮地を乗り越える。
いや、別段それもカッコイイわけではない。
本当に悪知恵で、騙された相手は悲惨なことになる。
そして、それが最後まで続く。
あげく、締めくくりは「さてさて世の中とはこんなもの」。
要するに、勧善懲悪などではサラサラなく、何だかやたらと
現実的なのである。
ただ、ライネケは打ちのめされて終わればいいのかというと、
それも違う気がする。
不思議な一遍である。