追憶のル・マン

昨晩、DVDで『栄光のル・マン』を見た。
もっと華々しいテイストなのかと思っていたら、これが何とも渋い
映画でビックリ。
ストーリー展開も控え目だし、俳優のセリフも極めて少ない。
一方、レースシーンに関しては、驚くほどの臨場感があった。
不思議に思ってウィキペディアで調べてみて、いろいろと納得。
まずは、この映画が実際の24時間レースの映像を織り込んだセミ
ドキュメンタリーであること。
主演のスティーブ・マックイーンがプロデューサーで、レース自体の
魅力を全面に出そうとしたこと。
結果、観客を引き込むストーリーの必要を説くジョン・スタージェス
監督との間に確執が起こり、監督が交代したこと。
そのスタージェスは
「途方もないジョーク、
 800万ドルをかけたマックイーンのホームムービー」
と手厳しい評を残したらしいが、それは的を得ているように思う。
実際、この映画には、個人のこだわりが細部にまで行き届くことで
生まれる、憑かれたような魅力があった。
ただし、それがアメリカで受けるとは思い難く、彼の地における
興業成績は散々だったらしい。
一方、日本では爆発的にヒットしたようだ。
ちなみに、ウィキペディアには
「配給元の東和は、映画の宣伝に際して複数の会社とタイアップの
 契約を交わし、松下電器産業のラジオ、ヤクルトの乳酸飲料の
 広告にこの映画の画像が使用された」
との記述があった。
わたしが叔母の部屋で見たポスターは、たぶん松下電器産業のもの
だったと思う。
当時、わたしは6〜7歳。
40年近くたって、その映画を見ることになるとは思わなかった。