時間による劣化

エンデの遺言』を読み進めている。
現在、半分くらい。
で、エンデへの言及が当然中心的ではあるものの、
かなりの頁がシルビオ・ゲゼルという経済学者に
ついて割かれている。
そしてその内容が、かなり目から鱗ものなのである。
今まで知らなかったことが悔やまれるほど。
ゲゼルは、利子の存在が人々を苦しめていること、
それが実はお金というシステムに骨がらみである
ことを喝破した。
地上にあるすべてのものは時間によって劣化して
いくのだが、お金は劣化することがない。
ばかりか、さらに言えば、それは人に貸すことで
利子を発生させる。
つまり、事物の変化に見合っていないのである。
たとえば、トマトがたくさん取れ過ぎたら、お隣に
分けてあげればいい。
持っていても、腐らせてしまうだけなのだから。
貨幣がそれと同じように、時間による劣化をうける
ならば(エイジング・マネーというらしい)経済の
矛盾はぐっと少なくなる、と。
エンデ、ゲゼル、シュタイナー…。
そうした英知が見据えた世界は、アメリカの攻撃
的なグローヴァリズムの正に対極にある。
ドイツと英米の対立という、20世紀初頭の構図は
あらためて見直されることになるのかも知れない。