大人の言葉

『ビジネスに「戦略」なんていらない』を読了。
いやぁ、おもしろかった。
少し種明かしをすると、平川さんは「ビジネスには戦略的な
思考など一切いらない」と言っているわけではない。
問題は、そうした好戦的なワードに魅せられることで「数ある
思考のフレームワークのオプションのひとつにすぎない思考
方法にとらわれてしまう」危険を批判されているのである。
畢竟、それは「勝ちか負けか」「家族的経営か合理的経営か」
といった二元論的思考への挑戦とも言える。
そういう言葉は出てこないが、「あれかこれか」のモダン的
発想を、「あれもこれも」のポストモダン的発想に転換しよう
とする試みと言い換えられもするだろう。
そして、それがビジネスの現場から、しかも2004年という
アメリカ発のグローバリズムが流行したタイミングで書かれた
ことに、勇気づけられる。
たとえ圧倒的な小数派であったとしても、大勢の理解が得られ
ないとしても、言わなきゃいけないことを言う。
理想の火が灯った言葉には、大人の振りをするだけの臆病な
言説にはない、人を喜ばせる強さがある。
そういう言葉を紡げるアニキたちがいてくれると、その背中に
恥じない在り方をしなければならないと思えるのである。
と、それは『グレンラガン』か。