悪い友達の映画

DVDで『パッチギ』を観賞。
井筒監督という人は、何だか横柄であまり好きではないのだが、
この映画はおもしろかった。
在日問題の扱い方にはいろいろと批判もあるらしいが、そこの
ところはムキにならなくてもいいんじゃないか、と思った。
情報や考え方が偏っているとしても、元より、今では考えられ
ないほど差別的だった時代を舞台にしているのだから。
バカチョンカメラ」なんて言葉が、大手の企業から平気で
発信されていた時代である。
そこをフラットな視点で描くことはけっこう難しいと思う。
そういう意味では、制作サイドの意識にもある種の懐かしさが
あった。
いずれにせよ、全体としてみればホノボノとした映画。
特に前半が、ユーモラスでよかった。
基本的にわたしは、すねた学生という存在に弱いのである。
大人たちが深刻ぶって作り上げている(本当は怠惰と不安の
結晶とも言える)規範に対して、根っこのところではそれを
ひっくり返したいのだけれど、それほどの力も信念もなく…。
ただし、だからこそ不満もたまって、馬鹿なことをしてしまう。
そういうヤカラに妙なシンパシーを感じてしまうのである。
というわけで、実生活においても、わたしは「つきあう友達が
悪い」と、少なからず言われていた。
主人公に、感情移入がしやすかった所以である。