『東京物語』

小津安二郎の『東京物語』を見る。
何を今さら? の感はあるかも知れないが、まぁ、見ていなかった
のだから仕方がない。
これまた近くのレンタルショップに無く、常々見たいと思っていた
映画なのである。
さて、年老いた老夫婦が東京に出てくる筋書きは知っていたものの、
その老夫婦が尾道に暮らしているという設定までは知らなかった。
会話が広島弁なので、妙に親近感がわいた次第。
一方、映画自体の感想はと言うと、これは若干微妙だった。
悪い映画だとは思わないが、わたしにとっては少々大人し過ぎた。
ただ、だからと言ってつまらなかったわけではなく、その雰囲気は
むしろ大いに楽しめた。
わたしは、親戚が集まるというのが、ことの他好きな子供だった
からである。
思春期以降、いとこたちはおじさんたちが集まる場所から徐々に
遠のいていったものだが、わたしだけはそうした場に一人混じって
いつまでもヘラヘラしていた。
そういう意味で、楽しい映画だった。
この映画は「家族の崩壊を描いている」と訳知り顔に評されるが、
果たしてそうなのだろうか?
親戚が集まれば、えてして世知辛い話が多いものである。
別に「普通」だったけどなぁ〜。
それから、東野英治郎演じる酔っぱらいが良かった。
思わず笑ってしまったほどである。
秋刀魚の味』も見てみたい。