麻雀放浪記

仙台に住む南くんが、誕生日プレゼントということで阿佐田哲也
麻雀放浪記/青春篇』の文庫本を送ってくれた。
真田広之主演の映画は見たが、小説は読んでいなかったので嬉しく
読み進めている。
で、これがおもしろい。
話の流れも楽しいが、何かこうサバサバとした開放感がある。
それはたぶん、出てくる人たちがモノにこだわっていないからだと
思う。
勝負をして、勝つか負けるか。
後は飯を喰うか酒を飲むくらいで、家が欲しいだの車が欲しいだの、
そういう物欲に行かない。
生きていくことの厳しさがある一方、生きていくこと以上の面倒が
出てこないのである。
終戦直後の話なので、実際には不安があり、ひもじさもあったはず
だが、持たざることの大らかさが、何とも気持ちいい。
「人生は麻雀の縮図である」
とは、釈徹宗さんの言葉。
普通は逆を言うものだが、釈さんの言葉の方が含蓄が深い。
さすが、本願寺派の高僧である。