あらためて「昭和」を思う

1980年代について、考えてみたいのである。
しばらく。
本上まもる著『〈ポストモダン〉とは何だったのか』は、
大変に読みやすい。
思想史の見取図を(著者自身の言葉を借りて言えば)暴力的
なほど、手短に教えてくれる。
ひとまず、大きな見通しが立つ。
一方、『グレンラガン』と『エヴァンゲリオン』の差異は
わたしには平成と昭和の違いのように思えてきている。
グレンラガン』が過酷な状況を引き受けようとする熱意の
魅力を持つのに対して、『エヴァンゲリオン』が提示して
いたのは、昭和的深刻さのマイムである。
対抗物が出てきて初めて、それが如実に実感された。
庵野監督自身が「衒学的」だったと評したように、エヴァ
中心には空虚さがあるのだが、それを愛おしむ感性は極めて
昭和的だった。
どちらが優れているということではない。
ただ、「あぁ〜、わたしにも分かるレベルの違いが出てきた
のだなぁ〜」と思った次第。
そうして、あらためて1980年代が昭和最後のデケイドだった
ことを思い返している。
日本人にとって、その影響は小さくないはずだ、と。
つまり、1920年代→1950年代→1980年代という、30年
西暦周期説があるにせよ、それとは別に、日本固有の年号が
終わろうとする場面の緊張感は独特だったと思うのである。
が、1920年代で大正も終わっていたか…。
そこ、もう少しいろいろと考えねば。