出版に関する出版物

出版動乱』を、ようやく読了。
思ったより手こずってしまった。
時間がかかった理由はよく分からないが、内容が
濃くて、読み飛ばせなかったのかも知れない。
悪い印象は、ない。
一番おもしろかったのは、取次に関しての章。
二大巨頭である、日販とトーハンの歴史と比較は、
とても参考になった。
「取次」というのは、いわゆる卸し問屋のこと。
出版社と書店の間にあって本の流通を司っている
が、あくまで縁の下の力持ち的存在である。
一般の消費者(たる、われわれ)が関わることは
まずないし、これに触れた本も多くはない。
この一章を持ってしても、この本はなかなかに
貴重と言える。
一方、あまり気持ちが乗らなかったのは、写真
週刊誌の章。
部数を競うヒロイズムは分からないでもないが、
どこまで行っても道義的な魅力が希薄だった。
「立ち止まったら負け」「気付いたら負け」的
争いは、どうもわたしの性分にはあわない。
ともあれ、その章ですら、いろいろと考えさせ
られることは多かった。
出版という業界に面と向かった良書だと思う。