『サザエさん』は何故終わらない?

昨日の続きを少し。
ちびまる子ちゃん』『サザエさん』『ドラえもん』は、
いずれも記録的な長寿番組である。
中でも『サザエさん』の開始は1969年ということだから、
放送期間は40年にもなる。
おやおや、わたしと4歳しか違わないではないか。
さて、それらの長寿番組に共通しているのは、ENDがない
ことである。
高山学派にとってはおなじみの指摘だが、英語のENDは
「終わり」と「目的」という二つの意味を持つ。
つまり、それらの長寿番組がENDLESS(くり返し的)で
あるのは、登場人物たちに目的がないからだと言える。
目的を設定して初めて、時間は直線的になり、昨日と
違う明日に向かい始める。
ENDLESSな時間は、円環的に閉じた時間に他ならない。
ビューティフル・ドリーマー』たちの時間は、甘美で
平穏だが、抜け出すことのできない牢獄でもあるのだ。
前近代的な時間を言祝ぐにやぶさかではないのだが、
それが消費の一形態である限り、必ずしも無限と重なる
わけでもない。
いずれにせよ、「終わるからこそ尊い」というロジック
の方が、わたしには性にあっているのだと思う。