欧文デザインという世界

同僚・手嶌くんが推薦してくれた『欧文書体』を読了。
良い本だった。
著者の小林章さんは、写研や字游工房などでフォント・デザイナー
として就労され、現在はドイツ在住。
ライノタイプ・ライブラリ社で、ヘルマン・ツァップやアドリアン
フルティガーといった、伝説的な巨匠たちと仕事をされている。
そんな人がいること自体に軽いショックを覚えた。
本の中では、「文字に関わる人はたいがい気さくな良い人です。」
という一文が印象的。
おそらくそうなのだろうと思う。
書体のデザインは、人を圧倒したり、驚かしたりするたぐいのもの
ではない。
読みやすさや癖のなさが、静かな美徳となる世界である。
著者の小林さんご自身、大変実直に書体に関する勉強をされており、
そのけれんみのなさに心が洗われるようだった。
伸びる素養は素直さなのだと思う。
それはそうだが、ひねた自分をなかなか捨てられないのもまた事実。
さてさて。