寒い日の堂々回り

大変に寒い日だった。
帰る道すがら、軽くふるえがくるくらい。
まぁ、冬というのはこれくらい寒いものだったはずである。
ところで、わたしは広島の県立高校に通ったのだが、そこには
暖房設備が一切なかった。
いや、「一切」というのは言い過ぎかも知れない。
職員室には、ストーブくらいあったと思う。
いずれにせよ、教室には何ら暖房設備がなく、おかげで大変な
寒さだった。
手がかじかんで字がうまく書けないほど。
一体あれは何だったのだろう?
そんな寒い日には、
「こんなところいつか抜け出してやる。いや、普通に通えば
 普通に卒業していくんだけどね」
と、自分突っ込みに明け暮れたものである。
そう言えば、大学も寒かったなぁ〜。
わたしが通っていた頃の東京造形大学は高尾のはずれにあり、
だだっぴろいアトリエは驚くほどの寒さだった。
水道の水の方が、まだしもましに感じられたものである。
しかし、津軽三味線の弾き手が、どんな寒さでも演奏できる
ように、氷水に手をひたしながら練習したという話を思い
出したりすると、わが身の軟弱さばかりが気にかかる。
まぁ、暑くてうだるのに比べれば、寒い方がまだいいか。
と、これまたいつもの思考の終着点である。