死体と新品

一々書いていなかったが、朝起きて運動するという習慣はすっかり
すたれていて、最近は惰眠をむさぼってしまっている。
「それじゃぁ、いかん」と、ここのところ早起きしようと努力して
いるが、いっかな布団から抜けだせない。
これからの季節は、ますます出られなくなるだろう。
で、起きられないのは仕方ないとして、布団の中でのらりくらりと
しているものだから、妙な夢をいろいろと見る。
あまりハッキリ覚えていないが、今朝は「ネクロフィリア」という
単語が出てきたように思う。
ネクロフィリアというのは、日本語に直すと「死体愛好」。
あまり良い言葉ではない。
それで思い出すのは、「死物フェティシズム」という単語である。
これは高山宏さんの造語だろうか。
『目の中の劇場』で初めて知った時の感動は、20年経った今でも
ハッキリ覚えている。
博物館の陳列物がそうであるように、生活と「切り離されてある」
事物は原理的に死んだ状態と言える。
同じ理屈はショーウィンドウにも当てはまるわけで、新しいものを
好む感性とは、実は死体愛好と紙一重なのである。
そして後年ビックリしたのは「新」という漢字が表わしているのが
実は位牌だということ。新しい位牌を作るために、木を選んで
切り倒したことが語源らしい。漢字では、のっけから死と新は
結びついていたわけである。
「親」はもっともよく「見る」位牌なので、同じようなつくりを
しているのだとか。
その話が収録されているのは『白川静さんに学ぶ漢字は楽しい』。
興味のわいた方は是非ご一読を。とってもおもしろい本です。