ジブリの裏で

野戦之月海筆子(yasennotsukihabiz)『阿Q転生』を見るために
井の頭公演へ。ジブリ美術館の真裏の広場。
わが家からそこまでは、キッカリ1時間半だった。
最近には珍しい、ちょっとした遠出である。
さて、野戦之月の芝居を見るのは初めてだったが、その前身である
風の旅団は若い頃によく見ていた。
初めて見たのは、予備校生の時。
広島の浪人生にしてみれば、テント芝居自体がもの珍しかったし、
中でも風の旅団は大変愉快で過激に素敵だった。
笑いあり、政治あり、狂気あり、そしてラストの炎。
今では取り締まりが厳しくなっているので、とてもそんなことは
できないが、芝居のクライマックスは決まって燃え上がる炎を
バックに大合唱という形だった。
「それは芝居としてどうなのか?」という議論もあるにはあったが、
火には原初的な快感がある。
花火などのように洗練されていない分、身体の芯に響いた。
その後大学進学で上京してからは、卒業するくらいまで少し深く
関わっていたのだが、ちょっとほろ苦い事情もあってご縁が切れる
形になってしまった。
そのあたりひっくるめて青春にリンクした劇団だった。
近年、mixi経由で野戦之月にたどりつけたのは、ある種の偶然。
Father-Uさんに感謝である。
会場に到着すると、そこには旅団の水野さんや広島のオルガナイザー
中山さんがいらっしゃり、いきなり20年の不義理を詫びることに。
ともあれ、お会いできて本当に良かった。
そんなわけで、芝居自体のおもしろさにノスタルジックな感慨が
加わり、大変密度の濃い3時間を過ごした。
公演は明日が最終日。
桜井大造の怪演をご覧になったことのない方は、是非どうぞ。