痛みの麻痺について

オレオレ詐欺が嫌いである。
まぁ、好きな人がいるはずもないが…。
特に被害にあった知人がいるわけではないものの、いつ自分が、あるいは自分の
親が騙されないとも限らない。
で、オレオレ詐欺の何が嫌いかというと、人の善意というか、人を思う気持ちに
つけ込むところである。
犯人は、そういう気持ちや痛みに無縁な人なのだろうと思う。
そして、あらためてそのことを考えていて、ふと同じような感覚を思い出した。
『ドッキリカメラ』というテレビ番組にまつわる記憶。
小学生の頃だが、わたしはその番組があまり好きではなかった。
他愛のないイタズラがほとんどだったが、中に人の善意を利用するものがあった
からだ。
たとえば、ヒッチハイクで止まってくれた車に対して、隠れていた多人数が
ワラワラと出てくるというもの。
これなど確かに目くじらを立てるほどでもないイタズラだが、止まってくれた
人の善意があまりにも軽んじられて嫌だった。
さらに言えば、それを笑っている出演者を見るのも悲しかった。
じゃぁ、見なきゃいいのに。はい、なのでチャンネルを変えるあい間程度にしか
見ていませんでした。
ともあれ、そんな時代から四半世紀が過ぎ、現実はもっとえげつなくなっている。
何でもかんでもテレビのせいにするのも芸がないが、それでもそんな番組に
オレオレ詐欺の種はあったのかなぁ、と思ってしまう。
実を言うと、今日一番ショックを受けたのは福岡の小1殺害事件である。
が、母親の気持ちを思うといたたまれず、自分の中でお茶をにごした次第。
その犯人の心の闇は、想像できる範囲にはないことなので。