幸せの多様性

DVDで「陽はまた昇る」を見る。
いやぁ、感動的な映画だった。
以前から気になっていた作品だったのだが、見て良かった。
西田敏行という人は、存在自体にちょっと過剰感があるので
抑え目の演出が吉。
顔が大きいというだけで、ちょっとクスッと来てしまうもの。
この作品でも、緒方直人と横向きでシルエットになるシーンが
あるのだが、
「どんな遠近法だよ」
というくらい、顔の大きさが違っていた。
ともあれ、立派な役者さんである。
以前、何かの記事で、西田敏行は毎リハーサルごとに少しづつ
アドリブを入れて関係者を笑わせ、現場の集中力を切らせない
という話を読んだことがある。
それは、なかなかできることではない。
どちらかというと苦手な部類に入る役者さんだったのだが、
その記事を読んで以来、ちょっと尊敬している。
「陽はまた昇る」では、役柄的にもそんな感じだった。
きっと現場も楽しかっただろう、と思う。
現場の空気感のようなものは、作品に織り込まれるものである。
PIXAR、楽しそうだもんなぁ。
が、大切なことはどこか他の場所を羨むことではないはず。
自分がいる場所を、そのようにしていくことが肝要である。
そのような場所が国中にできれば、その国は幸せになるだろう。
そのような場所が世界中にできれば、その時代は幸せと言える
だろう。
大きな理念の網をかぶせるよりも、小さな共同体の多発的隆盛
の方が、幸福のヴィジョンとしてはリアルである。
それはまるで、種が多様性を求めることのよう。
それに、大きな網は結局『1984年』的になってしまうから。