ヘラヘラ礼讃

朝起きると、テレビで竜巻きのニュースをやっていた。
何でも、群馬県の館林で、自動車を横転させたり、民家や
工場の屋根を吹き飛ばすほどの竜巻きが発生したとのこと。
けっこうな天災だったわけだったが、おもしろかったのは
インタビューを受ける人たちが、押し並べてヘラヘラして
いたこと。
それは何だか久しぶりに見る「日本人らしい」顔だった。
負傷者は出たものの、死者が出なかったこと。
また、珍しい災害にあったという、妙な誇らしさもあった
のかも知れない。
ともかく、深刻に打ちひしがれた様子はなく、おじさんも
おばさんも一様にヘラヘラしていた。
いや、当然中には重い心労をかかえた人もいただろう。
が、ひとまず、画面に出てきた人の顔は、奇妙に晴れやか
だったのである。
何か悪いことがあると、「誰かの責任」という世知辛い
世の中になっているが、この件では流石にそんなことを
言っても仕方がない、と。
さしずめ、そんなところだったのではないだろうか。
それはけして悪い感覚ではないと思う。