微妙な超人

さて、『笑う超人』である。
結論から言うと、ほぼAmazonに書いてある通りの感じだった。
良いところも悪いところも。
まず、良い点で言えば、談志の落語が本当に素晴らしかった。
あんな風にしゃべる人を初めて見た気がする。
何か、普通の「しゃべる」ということとは違う次元にある現象。
言い表わすことの難しい問題だが、敢えて言えば「しゃべる」
こと自体がそこにある感じである。
落語というものには当然筋があり、台詞があるわけだが、談志の
場合はそれらを覚えているというより、しゃべること自体
(つまり意味ではなく、口の動かし方)を身体で覚えている
ような…。
そんな印象を受けた。
一方、悪い点で言えば、対談があまりおもしろくない。
というか、落語以外のしゃべりは、ごく一般的なレベルだと思う。
それらは考えられて出てくる言葉なので、先に概念がある。
つまりは、普通のしゃべりだし、しかもそれがさほどユニークな
考えというわけでもない。
う〜ん。
落語の「芸」と比べると、一段も二段も落ちてしまうのである。
それに、落語の撮影に7台のカメラはやはり必要ない。
そんなわけで、星で言えば、Amazon通り三つ。
ただ、落語自体は本当におもしろかったので、若い時の映像を
あらためてじっくり見てみたくなった。