巨人たちの友情

先週の金曜日が澁澤龍彦の誕生日だったので、それをきっかけに
少し調べものをしたところ、『旅の仲間 澁澤龍彦×堀内誠一
往復書簡』という書籍の存在を知る。
この本、しかも編者は巌谷國士である。
寡聞にして、二人に交流があったことは知らなかったのだが、
考えてみれば、海外渡航が珍しかった時代にヨーロッパ文化の
魅力を日本に紹介した人たちである。
なるほど、その好奇心や感性が重なったとしても不思議はない。
しかし、交わされた往復書簡を見てみると、その関係は思って
いたよりもずっと親密なものだった。
また、二人の運命が徐々に密接にからみ合っていく様も大変
興味深かった。
生まれた年は4年違い。
案外近くで暮らしていた時期もあったようである。
一方、亡くなったのは同年。
というか、2週間とずれていなかった。
しかも、二人とも下咽頭癌を病んでの死だった。
澁澤龍彦にせよ、堀内誠一にせよ、一人一人にはある種の距離を
感じていたのだが、その友情と運命のシンクロにはぐっと来た。
並んで写っている写真がとても微笑ましい。